昨年の彼らとの共演はどうでしたか?
「彼らの音楽は、人々を本当にハッピーにしてくれます。静かな曲にしても、ジーンと心に響くいいものを出して下さるから、癒し系と言えば癒し系ですが、皆が望んでいるものがそこにはあるわけで、いいなぁと思いますね。それに彼らは凄く紳士なんですよ。オーケストラに対して凄く尊敬して下さるんです。お互いに尊敬し合って、大切に演奏することができたと僕は思っています」
何か想い出深いエピソードはありますか?
「リハーサルの途中にボーイズⅡメンのメンバーが泣き出して…。“こんなにいい音があるんだ”と言って、嬉しくて感動して泣いてくれたんですよ。要するに、そのオーガニックなサウンドですよね。機械で作ったものではなく、ピュアな生音の響きの美しさに感動してくれたんです」
声も楽器であり、歌とバック演奏というのではなくてオーガニックなもの同士が上手く溶け合うことを目指したと彼らは語っていましたが。
「正にそうですね。オーガニックなもの同士の共演、コラボと呼べると思います。僕たちのメンバーは、ずっとバックに徹しているわけではなくて、自分の演奏にのめり込んでドンドン前に出て行きますから、そういう意味で彼らも刺激を受けるんじゃないかと思います。これが普通のオーケストラであれば、おそらく引いてしまうところでしょうね。そこが面白いんだと思います」
楽譜通りに正確に演奏できるクラシック奏者にとって、フィーリング重視のポピュラー・ミュージックの演奏はまったく異なっていると言われますが、その点で苦労されたことは?
「ウチのメンバーは、ミュージカルで演奏している人が多いんです。しかも正規のメンバーで、非常に難しいところをくぐり抜けています。だからアドリブで出来る人が集まっていますし、凄く上手いんですよ。あとオペラやバレエの演奏者も多くて、そこが他のオーケストラとは違っています。それこそ普通のヨーロッパや日本のオーケストラでは出来ないかもしれませんが、ウチのオーケストラは何でもオッケイなんです(笑)」
彼らとの共演を通して得たものとは?
「とにかく嬉しかったですね。オペラともまた違う何かが、彼らにはありますよね、本当に。そして、このような共演を通して若い人たちにもオーケストラの魅力を感じてほしいですね」
それは、こういった共演の目的のひとつでもあるわけですか?
「そうですね。偉そうな言い方になりますが、若い人たちにクラシックでも何でもいいですが、もっと音楽に親しんでほしいんです。今はiPodなどで音楽を聴いている若い人たちも多いかと思うのですが、是非とも実際に楽器の生音を聴いてほしいですね。楽器には100KHzを超えるようなスピーカーでは聴こえない音もあるわけで、生で楽器演奏を聴いてもらうと凄く気持ち良くなれますから」
去年の成功を踏まえて、今年はどういった内容の共演にしたいと計画されていますか?
「去年は、とにかく必死だったんです。時間も限られていましたし。しかし、今では彼らの曲への理解も深まっていますし、去年の経験を活かしつつ、新鮮な演奏を聴かせることが今年のひとつの課題だと思っています」
text :Hisashi Murakami
企画制作:MATCH WORLD JAPAN 招聘:MATCH WORLD JAPAN / VIS A VISION
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